8050問題とは何か? 起きる原因・具体的な解決策・公的支援をご紹介
近年は中高年のひきこもりが深刻化し、8050問題として社会問題となっています。ひきこもりが増えるにつれ、犯罪も増加しているのが恐れるべきところです。8050問題とはどんなものか、何が原因で起きるのか、具体的な解決策はないのかなど、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
そこで、本記事では、8050問題の解決策と併せ、予防策などについてもご紹介します。
- 8050問題とは?
- 8050問題が起きる原因とは?
- 8050問題を防ぐには?
- 8050問題以外に起きている問題は?
- 厚生労働省の対策や支援について
- 8050問題の解決策でよくある質問
少子高齢化社会となり、8050問題は身近なものとなりました。少しでも不安を和らげるためにも、8050問題に関する知識を身につけておきましょう。
1.8050問題とは?
まず、8050問題とはどんなものなのかをご紹介します。
1-1.80代の親が50代のひきこもりを抱えている
8050問題とは、80代の親が50代のひきこもりとなった子どもを抱える問題を意味します。7040問題という言葉もあり、同様のケースで問題視されているのです。中高年になっても自立せず、高齢の親に面倒を見てもらう子が増え、親子で生活に困窮する事例が多くなっています。
1-2.親と未婚の子だけという家庭は増え続けている
少子高齢化社会になり、子どもの人数は減っているものの、親と未婚の子だけという家庭は増え続けています。厚生労働省が調査した親と未婚の子だけの家庭に関するデータでは、1986年に11.1%だったのが、30年後の現在では20.7%と倍近くに膨れ上がっているのです。
1-3.中高年のひきこもりが事件などの引き金になっている
中高年のひきこもりは家庭内の問題だけでなく、事件などの引き金になっているため、社会問題として捉えられています。家庭内暴力などに加え、他人を巻き込んで殺傷事件を起こすなど、深刻な問題となっているのです。
1-4.ニュースなどでも取り上げられている
Yahoo!ニュースなどでも大きく取り上げられているのに加え、NHK出版から「8050問題の深層」という書籍が出版されています。いかに中高年のひきこもりや8050問題が深刻であるかが分かるでしょう。
2.8050問題が起きる原因とは?
8050問題はなぜ起きるのでしょうか? 原因について解説していきます。
2-1.退職
退職がきっかけでひきこもりになるケースが多くなっています。退職理由は、対人関係のもつれやなどがほとんどです。人とのかかわりが嫌になり、再就職を考えることなく、ひきこもりになってしまいます。
2-2.精神疾患などの病気
仕事のストレスなどから精神を病んでしまい、治療が長引くことから、社会復帰が難しくなってしまうケースが目立ちます。経済的にも不安定になり、親を頼りにひきこもって暮らすようになるのです。
2-3.ケガ
ケガがきっかけで仕事ができなくなり、ひきこもりになってしまうケースがあります。社会から一度離れてしまうと、元に戻るのが難しいのです。
3.8050問題を防ぐには?
8050問題を防ぐ方法はあるのでしょうか? 具体的な解決策をご紹介します。
3-1.外部に相談する
体裁を気にし、ひきこもりを隠したいという家庭も多くあります。しかし、ひきこもりは、早めに対処することが大切です。メンタルの問題であれば精神科や心療内科など、外部に相談してみましょう。
3-2.公的サポートを受ける
中高年のひきこもりに関する公的サポートを受けてみる方法があります。自治体の相談窓口などを利用する方法です。自治体ごとに支援制度は異なりますが、自立支援や就労サポートなどを受けることができます。ひきこもり問題を家庭内で抱え込まず、積極的に外部へ相談をすることが大切です。
4.8050問題以外に起きている問題は?
8050問題以外に、どんな問題が起きているのでしょうか? 具体例を挙げてご紹介します。
4-1.偏見を持たれやすい
中高年のひきこもりは、偏見を持たれやすいことから、社会復帰がより難しくなっています。自立支援という表現もひきこもりの人からは敬遠されがちで、自尊心が傷つけられると感じる場合があるのです。
4-2.他責癖がある
中高年のひきこもりで多いのが、他責癖です。何かあると誰かが悪い・社会に不満を持っている・被害者意識が強いなど、接しにくい部分を持っています。被害者意識が加速し、他人を殺傷するなどの凶悪な事件を引き起こすケースもあるのです。
4-3.支援詐欺も横行している
中高年のひきこもりを支援する団体の中には、多額の費用を請求するなどの詐欺も横行しています。ひきこもりが弱者扱いされていることが原因です。詐欺被害に遭ったとしても、ひきこもりを隠したいという気持ちが家族にはあり、なかなか外部へ相談できないという悩みもあります。
5.厚生労働省の対策や支援について
公的対策や支援にはどのようなものがあるのでしょうか? 具体的な対策や支援をご紹介します。
5-1.ひきこもり対策推進事業
厚生労働省では、2009年から「ひきこもり対策推進事業」に取り組んでいます。主な事業内容は、以下のとおりです。
- ひきこもり地域支援センター
- ひきこもり支援に携わる人材の養成研修
- ひきこもりサポート事業
5-2.ひきこもり地域支援センターは各地に設置されている
厚生労働省が設置したひきこもり地域支援センターは、各地に広がっています。 ひきこもり地域支援センターは、医療機関・ハローワーク・行政・民間団体などと連携し、状況に応じて適切なところへ繋(つな)ぐことができるのがメリットです。ひきこもりの子どもに対してどう対処したら分からないという場合の窓口としての役割も担っています。
5-3.必要に応じて訪問支援なども行うのがひきこもりサポート事業
ひきこもり支援に携わる人を養成し、サポーターとして訪問支援などの活動を行う事業も行っています。各自治体と連携し、ひきこもりのケアや居場所作りなどもしているのです。
6.8050問題の解決策でよくある質問
8050問題の解決策に関する質問を集めました。
Q.8050問題に関する書籍はないのか?
A.はい、あります。NHK出版新書から出ている「8050問題の深層」という書籍が分かりやすいでしょう。中高年のひきこもり問題で悩んでいる方は、目をとおしてみてください。
Q.他責癖がある人は、5ch(旧2ch)などでも暴言を吐いてトラブルになっているのか?
A.はい、トラブルは多いものです。顔の見えない相手に暴言を吐き、さらに疎外感を抱くケースも見受けられます。また、相手が悪いと思う癖が抜けず、言い合いになった相手に暴力を加えるなどの事件も多発しているのです。
Q.中高年のひきこもりは、いつから始まったと考えればいいのか?
A.退職後や病気治療後、就職活動を避けるようになった時期から、ひきこもりが始まったと考えていいでしょう。自活しようとしないのは、ひきこもりの象徴的行動です。体裁を気にして隠さず、早めに適切な機関に相談しましょう。
Q.自立支援などのサポートを受ける際に注意したいのは?
A.無理に社会復帰を促すよう強引に進めるのではなく、ひきこもりでも暮らしやすい体制を作ってあげることから始めましょう。ひきこもりという悪を撲滅するという気持ちで始めると、無理が生じるばかりか、被害者意識が増幅してしまうケースがあるのです。うまく共存していく方法を模索するつもりでサポートを受けましょう。
Q.中高年のひきこもりを放置するとどうなるのか?
A.親子で共倒れになるケースもあれば、親が亡くなって生活が苦しくなり、やがて孤独死するケースもあります。悲劇を避けるためにも、行政のサポートを受けることが大切なのです。
まとめ
8050問題は、近年深刻化しています。中高年のひきこもりによる被害者意識の加速などが原因で、悲惨な事件が起きることもあり、しばしばニュースでも話題になっているのです。体裁を守ろうとひきこもりを隠すのではなく、適切な公的支援を受け、ひきこもりでも生きやすい環境を作ってあげることが大切なポイントとなります。厚生労働省の「ひきこもり対策推進事業」などを存分に活用しましょう。