相続放棄をした場合遺品整理ができない? その理由を詳しく解説!


「相続放棄を考えているが、遺品整理ができなくなると聞いて悩んでいる」という人はいませんか? 相続放棄とは、法定相続人が財産を相続する権利を放棄することです。財産というと現金や土地家屋などのイメージがありますが、家具家電や趣味の品なども財産と認められることがあります。そのため、不用意に遺品整理をすると相続放棄が認められなくなるケースもあるのです。

そこで、今回は相続放棄を考えているならば、遺品整理を慎重にしなければならない理由を解説します。

  1. 相続放棄をすると遺品整理ができなくなる理由
  2. 相続放棄をすれば遺品整理はしなくていいの?
  3. 相続放棄がおすすめのケース
  4. 相続放棄と遺品整理に関するよくある質問

この記事を読めば、相続放棄をするメリットやデメリット、相続放棄をした場合の遺品整理方法なども分かります。相続放棄をするかどうか悩んでいる人は、この記事を読めば判断の参考となるでしょう。ぜひ読んでみてください。

1.相続放棄をすると遺品整理ができなくなる理由

遺品整理とは、故人が残した土地家屋や現金、有価証券以外の持ちものを整理することです。遺品は財産ではないのになぜ整理をしてはいけないのか、この項ではそれを説明します。

1-1.相続放棄をすると財産に関する一切の権利を失う

法定相続人が相続放棄をすると、財産に関する一切の権利を失います。相続放棄をすれば現金や土地家屋、有価証券といったものはもちろんのこと、美術品など高値で売却できる可能性がある品を「形見」として相続することもできません。

1-2.遺品整理は財産を受け継ぐ意思があるとみなされる

遺品整理をすると、「財産を受け継ぐ意思がある」とみなされてしまいます。「資産価値のない遺品ばかりを整理するのに」と思う人もいるかもしれません。しかし、処分した遺品が「本当に資産価値がないものだった」ということを証明するのはとても難しいものです。ですから、「遺品整理をした」というだけで「財産を受け継ぐ意思がある」と判断されても反論することができず、相続放棄ができなくなる可能性が高いでしょう。

1-3.形見分けもしないほうが無難

形見分けとは、故人が愛用していたものや使っていたものを遺族や故人の友人で分けることです。日本では昔から行われてきたことなので、「相続放棄をしても形見分けくらい」と考えている人もいるでしょう。しかし、形見分けも遺品整理と同様に高値で売却できる可能性があるものをもらった場合、財産を相続する意思があると考えられてしまいます。ですから、相続放棄をする場合は。形見分けもできる限りしないほうがいいでしょう。

2.相続放棄をすれば遺品整理はしなくていいの?

では、相続放棄をすれば遺品整理は誰が行うのでしょうか? その一例や注意点をここで紹介します。

2-1.相続財産管理人を選定し、管理を任せる

相続放棄をすれば遺族に財産管理の義務はなくなります。しかし、何らかの理由で遺品整理をどうしてもしなければならない、という理由が出てくることもあるでしょう。この場合、裁判所に「相続財産管理人の選任」を申し立て、裁判所に管理人を選任してもらいます。弁護士が選任されることが多いでしょう。この管理人が遺品整理を行います。相続財産管理人の選任方法はリンク先のページを確認してください。

2-2.賃貸物件の保証人になっていた場合の対処法

故人が住んでいた賃貸物件の保証人になっていた場合、原状回復の義務が生じます。そのため、「遺品整理をしない」という選択ができないケースもあるでしょう。相続財産管理人の選任をする余裕があれば、裁判所に申し立てて管理人が決まったら、その人に遺品整理を任せましょう。ただし、孤独死など早急に対処が必要な場合は、特殊清掃や遺品整理を行っている業者に依頼し、相続放棄をする予定があることを説明して作業をしてもらう方法があります。優良な遺品整理業者は、いろいろな事例を知っているので、臨機応変に対応してくれるでしょう。

2-3.法律相談を利用してみる

「遺品整理をしたので絶対に相続放棄が認められない」ということはありません。しかし、「遺品整理をしてもいいもの」と「遺品整理をしてはいけないもの」の区別も曖昧(あいまい)です。「相続放棄をしたいが、遺品整理も求められている」という場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。また、自治体で開催される法律相談などを利用する方法もあります。

3.相続放棄がおすすめのケース

では、相続放棄がおすすめのケースはどんなものでしょうか? この項では、その一例を紹介します。

3-1.負の財産があるケース

相続できる遺産には現金や土地家屋など、「生の財産」のほかに借金などの「負の財産」もあります。また、土地家屋も済む予定がない場所にあるならば、相続してもメリットはありません。ですから、以下のような場合は相続放棄がおすすめです。

  • 多額の借金があり、土地家屋を相続したとしても割に合わない
  • 一生住む予定がない土地家屋しか財産がない
  • 使う予定がなく、維持費がかかるもの(車、船など)を相続しなければならない。

3-2.特定の誰かに財産をすべて相続させたい場合

相続人が複数いる場合、財産は法律で決められた割合で分割相続されます。しかし、財産の量や質によっては分けるほどではないということもあるでしょう。この場合、故人の妻や長男が財産をすべて相続する代わりに家屋の維持や遺品整理をやってもらうほうがおすすめです。後でトラブルにならないよう、相続の条件について公正証書を作成してもいいでしょう。

4.相続放棄と遺品整理に関するよくある質問

この項では、相続放棄と遺品整理に関する質問を紹介します。

Q.相続放棄をして賃貸物件の保証人になっていない場合、大家さんが遺品整理をしてほしいと言ってきても無視していいのですか?

A.はい。遺品整理をすると相続放棄が認められない可能性が出てくることを説明し、理解してもらいましょう。

Q.相続放棄をした場合、家から何も持ち出してはいけないのですか?

A.相続放棄が認められたら、誰が見ても資産価値がない思い出の品くらいは大丈夫でしょう。心配ならば弁護士に相談してください。

Q.おじやおば、離婚して音信不通になっている父や母からいきなり財産の相続が発生した場合、放棄できますか?

A.はい。相続放棄は対象が誰であれ可能です。ただし、財産を受け継ぐ権利が生じたと分かってから3か月以内に手続きをしなければ、相続放棄は不可能になります。

Q.負の財産だけ相続放棄することはできないのでしょうか?

A.はい。それは不可能です。

Q.特定の誰かに財産を相続させたい場合、遺言書を書くだけではダメでしょうか?

A.遺言書でもかまわないのですが、財産を受け継げないと知った人が「遺留分」を請求してトラブルになることがあります。よりスムーズに相続を行いたい場合は、相続放棄をしてもらいましょう。

まとめ

今回は、相続放棄をする場合、遺品整理を行ってはいけない理由などを紹介しました。相続放棄は「負の財産だけ放棄できる」というものではありません。うっかり遺品整理をしてしまわないようにしましょう。また、1人で悩まず、弁護士などに相談することが大切です。