「形見分けで親族同士のトラブルに発展した」「誰がどの形見をもらうのか揉(も)めた」など、形見分けのトラブルで悩んでいる方は多いでしょう。
形見分けは故人が持っていたものを親族や友人たちで分け合う大切な作業です。
だからこそ、慎重に進めていかなければ親族同士で不仲になってしまうなどのトラブルが起きてしまいます。
本記事では、形見分けで起こることが多いトラブルを踏まえ、対処法や注意点を解説しましょう。
この記事を読むことで、形見分けのトラブル対処法やスムーズに進めるコツなどが分かります。
気になっている方はぜひ参考にしてください。
形見分けとは?
まずは、形見分けがどんな作業なのか基本情報をチェックしましょう。
故人との思い出が詰まったものを分配する
故人の近親者や親しかった人の間で、故人が大切にしていた愛用品・思い出の品などを分配し合うことを形見分けといいます。
形見分けは、故人との思い出をいつまでも大切に温めるための作業でもあるようです。
形見分けでもらった品を見るたびに、故人との思い出が蘇(よみがえ)るでしょう。
故人の姿形が思い起こされるようなものだからこそ、故人の形見となります。
故人との思い出が蘇るものは人それぞれ異なるので十分に話し合うことが大切です。
四十九日を目安に行うのが理想
形見分けは何日にすべきと決まっていませんが、四十九日などの法事を目安に行うのがベストだといわれています。
法事では親族や交流のあった人たちが集まりやすいときでもあるため、形見分けがしやすくなるからです。
できれば、親戚縁者が集まりやすい日をねらって形見分けをした方がトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
最近では、親族同士でトラブルにならないよう、生前に形見分けをする人が増えてきました。
生前の形見分けは、自分の意思で相手に贈ることができるメリットがあります。
故人の近親者・親しかった人が対象者
形見分けの対象者にルールや決まりはありませんが、一般的に故人の近親者や特に親しかった人が形見分けの対象者となります。
前述したように、形見分けはいつでも故人を偲ぶことができるように行われるものなので、故人に対して同じ気持ちを持っている人なら対象者になり得るでしょう。
配偶者や子共はもちろん、孫・子共の配偶者・友人でも構いません。
形見分けで起こることの多いトラブル
それでは、形見分けで起こることの多いトラブルをいくつか紹介します。
渡し方や口約束で親族・親族以外と揉めてしまう
形見分けでよくあるトラブルが、形見の渡し方や口約束によって親族または親族以外との間で揉めてしまうことです。
たとえば、「あの大きな絵画とオブジェを故人からもらう約束をしていた」と周囲に伝える人がいれば一気に雲行きが怪しくなります。
遺言書にしっかりと書かれていれば誰も文句はいえませんが、その人自身が勝手に発言している場合は大問題です。
たとえ、事実であったとしても口約束では他の親族とトラブルになってしまいます。
また、故人の所有物を勝手に親族以外に渡したことでトラブルになるケースもあるでしょう。
あくまで、故人の所有物はすべての親族(配偶者や子どもなど)に相続権があり、相続権のある人の同意を得ずに勝手に親族以外に渡してはいけません。
間違って思い出の品を処分してしまう
遺品整理の段階でよくある形見分けトラブルとして、間違って思い出の品を処分してしまったというケースがあります。
自分にとってはゴミと同じものだとしても、他の人にとっては故人との思い出が詰まっている大切なものかもしれません。
思い出が詰まった遺品を勝手に処分してしまうと、親族同士のトラブルに発展するケースがあります。
遺品整理では親族との話し合いがとても重要になるため、どんなものを思い出として残しておくのか事前に確認することが大切です。
高価な形見の取り合いに
遺品の中にはアクセサリーや宝石など、高価なものもあるでしょう。
高価な品々の形見分けでは、よく親族同士の取り合いによるトラブルが起きています。
高価なものを自分のものにしようと、勝手に遺品整理を始める人も出てくるので注意が必要です。
また、価値が非常に高い遺品は形見分けの対象とせず、「遺産分割の対象」となります。
遺産分割の対象となるものは、遺産分割協議によって誰が相続するかを決めることになるでしょう。